こんにちは。Achieve English GymのReinaです。
2024年度から、英検1〜3級の試験問題形式が一部リニューアルされることが、2023年7月に発表されました。
「問題が改定されると聞いて焦っています」
という方もいれば、
「え!全く知りませんでした」
という方もいるかと思います。
また、受験時期や合格目標時期の設定は特にしておらず、「いつかはチャレンジしてみたい」「そのうち合格できればいいな」と思われているご家庭も多いかと思います。
そこで今回、現在分かる範囲での英検問題リニューアル内容をご紹介します。
改定内容に加えて、受験のアドバイスも含めて詳しく記事にしたいと思いますので、お子さんがどのくらいの対策期間が必要になるかを各ご家庭でご検討頂いた上で、受験時期検討の参考にして頂ければと思います。
※この記事は、2023年7月6日に英検®️ホームページにて発表された速報を元に2023年8月25日に執筆後、新たな情報を本日2024年4月21日に加筆・修正しております。最新情報は英検ホームページにてご確認下さい。
以下の項目に当てはまる方は、ぜひこの記事をご一読下さい。
- 現在ご本人またはお子さんが英検を受験予定の方
- 英検の受験時期や次回の申込を迷われている方
- 英検にいつかはチャレンジしてみたいけれどまだ具体的に決めていない方
- 英語の勉強のやる気が出ない方
- 中学受験・高校受験・大学受験用に英検に合格したい方
- 英検試験問題リニューアルの内容と難易度の感触が知りたい方
英検問題形式一部リニューアルの背景と時期
なぜ英検問題形式が一部リニューアルされるの?
今回の問題改定の前は、級により2016年度または2017年度に改定が行われました。その時は、ライティングが無かった級にライティング問題が追加されたり、ライティング問題の形式が変わったりしました。
このように、時代に合わせて出題内容も適応しており、現在は「知識や技能」を習得するだけではなく、「思考力、判断力、表現力」等も育成する必要があることから、リニューアルが決定されたようです。
問題形式はいつから変わるの?
出題内容の改定は、2024年度第1回検定(2024年6月)からの実施が予定されています。
英検S-CBT(コンピューター版)は、2024年5月実施分からリニューアル開始予定です。
英検の受験時期を迷われている方や進学のための受験に必ず英検合格が必要な場合は、現在の英語力も踏まえて、受験スケジュールを検討されることをおすすめします。
英検問題形式リニューアルの内容
リニューアル対象の級
今回のリニューアルの対象は、以下の級です。
- 3級
- 準2級
- 2級
- 準1級
- 1級
※5級と4級は変更なし。
リニューアル概要
リニューアルの概要は以下の表の通りです。
※表は、英検ホームページ内の2024年リニューアル詳細ページより引用。
大きな変更点は、ライティング問題の出題が現在の1問から2問に増えるということです。
確かに、2023年度までの形式は一次試験のスコアの3分の1が、良くも悪くもたった1問のライティングに左右されてきました。
そして、そのこともあり当スクールにもライティングのみ対策をご希望とのお問合せを頂くことが少なくありません。
実際に、従来のライティング問題は、各級に合わせた書き方のコツを学ぶだけで書きやすさが大幅に変わります。
ライティングの出題を2問にすることで、1つの問題への依存度を減らすことができるという点で、これまでより正確にライティングの実力を測ることができるようになると私は考えています。
そして、追加されるライティングの問題は、各級の合格ラインギリギリのところにいる受験者にとっては、従来の問題よりも難易度が高いと考えています。なぜなら、追加のライティング問題は、長文読解力も必要だからです。
上の表に記載の変更内容の解説とそれぞれの級のアドバイスを次の項目でさせて頂きます。
※とても長いので、お時間の無い方はひとまず直近で受験予定の1〜2つの級の内容をご一読下さい。
英検3級
3級は、以下の通りライティング問題が1問追加され、それに伴い試験時間が15分延長されます。
リーディング | 変更なし |
ライティング | 既存の「意見論述」問題に加え、「Eメール」問題を出題 従来:1問→変更後:計2問 |
筆記試験時間 | 従来:50分→変更後:65分 |
リスニング | 変更なし |
スピーキング | 変更なし |
ライティング:「Eメール」問題追加
5文程度のEメールに対する「返信」を書く問題です。
その際、元のEメールの中に含まれている「2つの質問」に対応する内容を15語〜25語で書くことが求められます。
既存の「意見論述」問題と同様に、文法やスペリングに気を付ける必要があることに加え、元のEメール内の2つの質問を正確に理解する必要があります。
3級の既存のライティングができるレベルであれば、コツを覚えれば十分に対応可能な内容だと考えています。
ただ、文法やスペリングが苦手な場合は、苦戦する可能性がありますので、早い段階から文法の基礎(5〜3級)を固めておくことをおすすめします。
尚、3級では4級(選択問題のみ)には無かったライティング問題を2問答える必要があるため、4級学習時よりも対策に十分な時間を確保しておくことをおすすめします。
英検準2級
準2級は、以下の通りライティング問題が1問追加され、それに伴い試験時間調整のためリーディング問題が8問減ります。時間は5分延長されます。
リーディング | 37問→29問 ・大問1:短文の語句空所補充 →5問削除(熟語・文法問題など) ・大問3B:長文の語句空所補充 →3問削除(設問No. 28-30) (試験時間調整のため) |
ライティング | 既存の「意見論述」問題に加え、「Eメール」問題を出題 従来:1問→変更後:計2問 |
筆記試験時間 | 従来:75分→変更後:80分 |
リスニング | 変更なし |
スピーキング | 変更なし |
ライティング:「Eメール」問題追加
1段落のEメールに対する「返信」を書く問題です。
その際、元のEメールの中に、含まれている下線部(例:「a robot pet」)の理解を深めるために、作成する返信メールの中で下線部についての特徴を問う具体的な質問を2つすることが求められます。
語数の目安は40語〜50語です。
既存の「意見論述」問題と同様に、文法やスペリングに気を付ける必要があることに加え、元のEメールの内容を正確に理解する必要があります。
返信メールには、自分が下線部をより深く理解するための質問を2つ書く必要があるため、既に元のEメールに記載されている内容を質問してしまっては、カウントされないですよね。
また、元のEメールは、受験者の意見を求める質問(例:Do you think 〜?)で終わるようですので、返信メールではこの質問にも答える必要があります。
準2級の既存のライティングができるレベルであれば、文法や語数は同等程度ですので、返信の書き方やコツを覚えれば対応可能ですが、元のEメールをしっかりと理解する必要があるため、長文読解が極端に苦手な場合は、まずは英語力の底上げが必要です。
準2級の長文が理解できるレベルであれば問題なく対応できますが、3級と準2級の間の壁が大きいと感じているお子さんやリスニングで点数を稼いで合格を目指そうと思っていた方は、気合を入れて学習して頂きたいと思います。
特に、語彙力や文法に自信がない場合は、早めの対策をお願いします。
英検2級
2級は、以下の通りライティング問題が1問追加され、それに伴い試験時間調整のためリーディング問題が7問減ります。
リーディング | 38問→31問 ・大問1:短文の語句空所補充 →3問削除(文法問題など) ・大問3B:長文の内容一致選択 →4問削除(設問No. 30-33) |
ライティング | 既存の「意見論述」問題に加え、「要約」問題を出題 従来:1問→変更後:計2問 |
筆記試験時間 | 変更なし(85分) |
リスニング | 変更なし |
スピーキング | 変更なし |
ライティング:「要約」問題追加
3段落程度のパッセージを読み、その内容を45語〜55語の英文で要約するという問題です。
既存の「意見論述」問題の語数の目安が80語〜100語ですので、書く必要がある語数は半分程度ですが、少ない語数で要約するということは、しっかりと内容を理解してポイントを押さえて書く必要があるということです。
また、求められているのは「抜粋」ではなく「要約」ですので、長い文章を如何に簡潔にまとめられるかが鍵になってきます。
リーディングの長文読解に苦戦している段階の場合は、今回の「要約」問題追加によりライティングのスコアにも影響が出てくる可能性が高いです。
また、長文が理解できてもそれを「要約」するには練習が必要です。
「要約」は、日本語の文章であっても、作成者の読解力や論理的思考力により、大人でもクオリティーに差が大きく出るかと思います。英文を読み、それを英文で要約するとなると、大人でも難しいと感じる場合が多いのではないでしょうか?
つまり、今回の問題リニューアルにより2023年度までの試験形式よりも2級以上は受験者にとって難易度が上がることが予想されます。
当スクールがあるタイ・バンコクでインターナショナルスクールに通うお子さんは、準2級まではスムーズに進み、準2級と2級の間に大きな壁を感じる場合が多いです(2024年度現在)。2023年度の試験形式で2級にギリギリ合格するかしないかというレベルのお子さんは、この「要約」問題で更にハードルが上がると思って頂ければと思います。
今までギリギリ合格できていたラインの受験者がこの問題によって合格できなくなる可能性がありますので、まずは親御さんがお子さんの現時点での英語力と問題の難易度を理解した上で、対策に必要になりそうな期間・時間・努力量を逆算して、計画的に学習ができる環境を整えてあげて下さい。
2023年度までの試験形式でも「準2級までは大丈夫だったので子どもに任せていたら、全然内容を理解できていなかったので助けて下さい」と、試験直前や試験後に2級のお問合せやご相談を頂くことも多いのですが、語学は試験直前だけ頑張れば良いものではありませんので、日々の積み上げを大切に考えて頂ければと思います。
英検準1級
準1級は、以下の通りライティング問題が1問追加され、それに伴い試験時間調整のためリーディング問題が10問減ります。また、スピーキングのNo.4に文が1つ挿入されます。
リーディング | 41問→31問 ・大問1:短文の語句空所補充 →7問削除(単語問題) ・大問3:長文の内容一致選択 →3問削除(設問No. 32-34) (試験時間調整のため) |
ライティング | 既存の「意見論述」問題に加え、「要約」問題を出題 従来:1問→変更後:計2問 |
筆記試験時間 | 変更なし(90分) |
リスニング | 変更なし |
スピーキング | 受験者自身の意見を問う質問(No.4)に話題導入文を追加 |
ライティング:「要約」問題追加
3段落程度のパッセージを読み、その内容を60語〜70語の英文で要約するという問題です。
既存の「意見論述」問題の語数の目安が100語〜120語ですので、2級同様書く必要がある語数は半分程度ですが、少ない語数で要約するということは、しっかりと内容を理解してポイントを押さえて書く必要があるということです。
尚、問題の指示文の1文目は、以下の通りです。
・Instructions: Read the article below and summarize it in your own words as far as possible in English.
英検ホームページ:2023年7月6日速報より引用
2級の指示文には明記されていませんが、準1級からは「in your own words as far as possible」というフレーズが書かれています。つまり、「要約」なので当然ではあるのですが、可能な限りコピーはせずに自分の言葉で書かないと点数にも影響してくることが予想されます。
また、既存のライティングも、準1級は2級と比較して語彙や構文も級相応のレベルでバリエーションを付けて書くことができているかが厳しく採点されている印象ですので、要約する文章のクオリティーや使用する語彙にも気を配る必要がありそうです。
その他の注意点や心構えは、「2級」の項目で記載したものと同じこと言えますので、そちらをご参照下さい。
一方で、多くのお子さん(特に小さい学年)が苦手とする大問1の問題が7問、長文問題が3問の計10問が削除されるため、語彙力で苦労している受験者にとっては、ありがたい変更かもしれませんね。
いずれにしても、特に中学受験・高校受験・大学受験のために決まった時期までに英検準1級の合格を目指すお子さんは、早い段階から計画的に英語力向上のために積み上げを開始して頂いた方が安心です。
スピーキング:No.4に話題導入文追加
準1級にのみ、スピーキング問題に小さな変更があります。
試験の内容や問題数はこれまでと同様ですが、受験者自身の問題を問う質問(No.4、最後の問題)に話題導入文が追加されます。
この変更には、あまり大きな影響は無いと考えていますが、受験者の英語力(特に語彙力とリスニング力)によりプラスに働く場合とマイナスに働く場合があると見ています。
2023年度までの試験では、No.4の問題は以下のような質問文(疑問文1つのみ)でした。
Should rich countries do more to help poor countries develop?
英検ホームページ:2023年7月6日速報より引用
それが、2024年度からは、以下のように1文追加されます。
The wealth gap between rich countries and poor countries often becomes a topic for discussion. Should rich countries do more to help poor countries develop?
英検ホームページ:2023年7月6日速報より引用
追加された話題導入文が理解できれば、背景知識を与えてくれるヒントとして捉えることができるため、求められている回答の方向性を理解する上で役に立つ文章です。
一方で、この追加される話題導入文に出てくる語彙の意味や文章の内容が理解できない、聞き取れない場合は、混乱してしまう可能性もあるでしょう。
ライティング問題も同様ですが、あらゆる分野の問題に対応できるよう、英語力のみでなく背景知識の習得も合わせて行って頂ければと思います。
余談ですが、そして大げさですが、英検準1級レベルの英語力(4技能)や論理的思考力が身に付いている日本人の学生や大人が増えれば、日本(と日本人の英語力に対する世界のイメージ)が大きく変わると思っています。
ですので、個人的には、ただ進学のためのみではなく、世界の共通言語という武器を身に付けるつもりで、取り組んで頂けると嬉しいです。
もちろん、簡単な道ではありません。だからこそ、主に小学生から高校生までの教え子から届く準1級合格のお知らせは、とても感慨深いです。応援しています。
ちなみに、「準1級に挑戦する心構えや過去の合格者の特徴」について、以前短いコラムを書きましたので、準1級を目指している方、今後目指したい方はぜひご一読下さい。
英検1級
1級は、以下の通りライティング問題が1問追加され、それに伴い試験時間調整のためリーディング問題が6問減ります。
リーディング | 41問→35問 ・大問1:短文の語句空所補充 →3問削除(単語問題) ・大問3:長文の内容一致選択 →3問削除(設問No. 32-34) (試験時間調整のため) |
ライティング | 既存の「意見論述」問題に加え、「要約」問題を出題 従来:1問→変更後:計2問 |
筆記試験時間 | 変更なし(100分) |
リスニング | 変更なし |
スピーキング | 変更なし |
ライティング:「要約」問題追加
3段落程度のパッセージを読み、その内容を90語〜110語の英文で要約するという問題です。対策の心構えや注意点は、2級と準1級と同様ですので割愛します。「2級」と「準1級」の項目をご参照下さい。
英検1級は、もちろん難易度も高く合格率も他の急に比べて低い試験ですので、「せっかく準1級まで取ったからここまで来たら極めたい!」と思う方だけが受けるので良いかと思いますが、目指す場合はぜひ頑張って下さいね。
最後に
さて、ひとまず次に受験予定の級の問題リニューアル内容はご理解頂けましたか?
冒頭にも記載した通り、英検問題リニューアル後も、それぞれの級で求められているレベルを身に付けた上で、高得点で合格して頂くのが理想です。
ギリギリで無理に合格すれば、次の級の合格が果てしなく大きな目標に思えて、モチベーションが下がってしまう可能性があるからです。
ですので、現在の実力と、投資できる時間・労力と、目指したいレベルとその時期を全て考慮した上で、お子さんと一緒に受験時期と取り組み方を検討して頂ければと思います。
ただ、受験等の理由で近いうちに「合格」が必要な場合や、「これまでなかなか勉強に身が入らなかった」という方は、この記事に出会った今日から頑張って、本気になって、学習をしてみて下さいね。
上記内容を踏まえた英検の学習のご相談やレッスンのお問合せは、お気軽に以下の公式LINEへご連絡下さい。