この記事は、バンコクで年に4回発行される季刊誌FACEに連載中の「英語コーチReinaのひとりごと」のコラムVol.2(季刊誌FACE Vol.22掲載)を再構成し、より詳しく書いたものです。
このシリーズでは、日頃生徒さんからよく頂く質問やお悩みについて私が思うことをお伝えしていきます。英語学習やお子様の英語教育には、様々な方法や考え方があり、答えは決して一つではありません。私の「ひとりごと」として、皆様が「これから」を考える上でのヒントの一つとして、読んで頂けると嬉しいです。
今回のテーマは、こちら。
英語の勉強、しなければいけないのはわかっているのですが、モチベーションが上がらなくて…。どうしたら良いでしょう?
私も、せめて日常会話ができたり、子どもの勉強が見られるぐらいにはなりたいのですが、モチベーションが続きません…。
以下の項目に当てはまる方は、ぜひこの記事をご一読下さい。
- 英語の勉強をしなければならないと思いながら、中々始められない。
- 英語の試験・受験勉強のモチベーションが上がらない。
- 英語の勉強のモチベーションが続かない。
- 英語が話せるようになりたい。
- TOEICのスコアを上げたい。
- 子どもの勉強のモチベーションを上げたい。
なぜモチベーションが上がらないのか?
モチベーションについては、年齢・性別・職業問わず、よくご相談頂きます。
本記事では、細かいモチベーション向上のテクニックではなく、その前の英語学習の心構えとして、そもそも「なぜモチベーションが上がらないのか?」というところから考えてみたいと思います。
「モチベーションが上がらない…上げたい!」と思われている方は、流し読みをするのではなく、ぜひ紙とペンをご用意の上、ステップ毎にご自身に当てはめて、じっくりご自身と向き合い、考えを書き出しながら読み進めて頂ければと思います。
先に結論を言うと、モチベーションが続かないのは、英語学習が現時点ではあなたにとって「SHOULD(すべきこと)」で止まっていて、「MUST(必ずしなければならないこと)」になっていないからです。
「ちゃんとしないとな〜…」と思うだけでは、様々な理由をつけてすぐに逃げることができてしまうのです。
- 「ちょっと今日忙しいしな…」
- 「なんかやる気起きないしな…」
- 「疲れてるしな…」
- 「まぁ、急がないしな…」
などなど、これらのセリフがついつい出てきてしまうのは、英語学習があなたにとって「してもしなくてもどちらでも良いこと」になっているからではないでしょうか?
まずは、それを「MUST」の状態に持っていき、習慣化して学習を自分の生活の一部にしてしまえば、毎回意志の力のみに頼ることなく、学習を継続しやすくなるのです。
次項から、そのための5つのステップをお話していきます。
Step 1:英語学習の長期的な「目標」を立てる
「やる気が起きないなー…」と思ったら、「モチベーションを上げる方法」という発想をするのではなく、まず考えてみて頂きたいことがあります。
それは、あなたがご自身の人生で「英語」という観点では「このレベルまで行きたい!」、「こうなりたい!」という、「なりたい像」です。
この「なりたい像」が、あなたの英語学習においての長期的な「目標」です。
5年後でも10年後でも30年後でもいいので、「ゴール」をはっきりさせるのです。
- 海外旅行中にスムーズにコミュニケーションを取りたい!
- 現在住んでいる国で不自由なく過ごせるようになりたい!
- 英語でビジネス交渉をして活躍の場を広げたい!
- 海外に住みたい!海外で働きたい!
- 子どもの幼稚園・学校・家庭教師の先生と意思疎通したい!
- 子どもの英語の勉強を見てあげたい!
- 世界中に友達が欲しい!
など、人によって目指すものや想いが違うはずですよね。
ぜひじっくり、本当に叶うとしたら、「いつまでに」「どのような状態に」なっていたいか、考えてみて下さいね。
考える過程で、その情景をできるだけ詳しくイメージしてみて下さい。
そして、それを全て紙に書き出してみて下さい。
ポイントは、その「目標」を「こうなれたらいいなぁ…」ではなく、「絶対にこうなりたい!!」と強く思えるものを見つけることです。
ですので、必ずしも大きな目標である必要はありません。いきなり30年後の想像が難しければ、5年後や2年後だけでも良いので、「せめて、これはできておかないと絶対にやばい…!!」というものを考えてみても良いですね。
Step 2:英語学習の「目的」を明確化する
では次に、もう一歩踏み込んで、「なぜそうなりたいのか?」を考えてみて下さい。
つまり、先ほど書いた目標を達成したい「理由」です。
- 知らないことを知るのが好きだから?
- 新しい価値観に出会うことに喜びやワクワク感を感じるから?
- 誰かと何かを共有することに幸せを感じるから?
- 仕事で成功して家族を守り続けたいから?
- すごい!カッコイイ!と思われたいから?
この「なぜ?」の部分が、あなたの英語学習の「目的」であり、その目的を「必ず達成するんだ!」という気持ちが、「モチベーション(=動機)」なのです。
「動機」が無いと、持続的な「やる気」は出ません。
小手先のモチベーションアップ法のみに頼って「やる気」を起こそうと思うと、日々辛いですし心が折れやすいですよね。
語学学習で大切なのは、1日だけやる気を出すことではなく、そのやる気を継続させることです。
自分が英語力を磨く「目的・理由・動機」を自分自身がしっかりと理解しておくことが、一番のやる気の源になるでしょう。
やってもやらなくてもどっちでも良いことに本気になるのは、人間なかなか難しいものです。
ですので、ここでのポイントは、その「目的」が他の誰でもない「自分の人生において絶対に譲れない」こと、「MUST(必ずしなければならないこと)」であることです。
Step 3:英語学習の「短期目標」を立てる
Step 1の大きな目標が定まり、Step 2の達成したい理由が明確になったら、次はそれを「短期目標」に落とし込みます。
長期的な目標を達成するために達成する必要があることを、リストに書き出しましょう。
例えば、「海外で働きたい!」という目標がある方であれば、現在の会社で駐在員になることを目指すにしても、転職や就職をするにしても、TOEIC等の英語力の目安が分かるスコアの提出が必要になるかもしれません。
実際に住むとなると、やはり事前にある程度の日常会話はマスターしておくとスムーズ進みます。
日常会話だけでなく、ビジネスシーンでのメール・会議・商談等にも備えなければいけません。
達成したかどうかが分かりやすい目標にするのが、ここでのポイントです。出てきた目標がフワッとした目標であれば、点数や○×で達成状況が分かりやすい表現に言い換えてみて下さい。
- TOEICスコアアップ→TOEIC○○点取得!
- 日常英会話力アップ→英会話の先生がレッスンで言っていることの8割理解する!
- ビジネス英語力アップ→英語で進めている○○案件の商談を成立させる!
Step 1の長期目標によって、これらの短期目標は変わって来ますので、長期目標に合わせてできるだけ細かく短期目標をリストアップしてみて下さいね。
Step 4:期限を決めて「逆算」する
Step 3で短期目標が決まったら、改めてStep 1の長期目標を「いつまでに」達成するかを考えて、決めて下さい。
先ほどの「海外で働きたい!」という長期目標の達成期限が3年後なのであれば、「20○○年○月○日」と明確な日付で書いてみて下さい。
そして、そこから「逆算」してStep 3の短期目標にも一つずつ「期限」を決めて下さい。
期限を決めながら、もし短期目標が追加で思い付いたら、どんどん追加していきます。
例えば、2年後にTOEIC800点を取る目標であれば、1年後は何点?半年後は何点?3ヶ月後は何点?というように、細かく刻んでいきましょう。
今のスコアが400点だとして、「2年後に800点」というと期間も点数も遠い気がしてしまいますが、まずは「3ヶ月後のTOEICで450点」という目標だったら、頑張ればできそうな気がしませんか?
「日常会話ができるようになる」という目標だと、どこからどのように始めたら良いのか分からず結局やらずに終わる可能性もありますが、現在海外在住であれば「明日カフェでメニューの指差しなしでカフェラテを頼んでみる」、日本に住んでいても「今週末にオンライン英会話のトライアルレッスンを予約してみる」という目標だったら、できませんか?
Step 5:「行動」と「習慣」に落とし込む
Step 4で細かく刻んだ目標ですが、最後に例に出した「カフェラテを頼む」や「トライアルレッスンを予約する」は、もはや目標というより自分がやるかやらないかの「行動」ですよね。
Step 4で行動レベルまでに落とし込めたものは、決めた期限までにぜひ行動に移してみて下さい。上手く行くか行かないかの問題でなく、やってみるかやってみないかの違いなので、できるはずです。
Step 4でまだ行動レベルにまで細かくなっていないものや、やってみようとして途方に暮れるほど難しく感じた場合は、その行動を更に細かく分けて、一番最初のステップから順に行ってみて下さい。
それぞれの短期目標を達成するために必要な行動を思い付く限り書き出してみましょう。
そして、「習慣」にできるものは、日々の習慣にして下さい。
「いやいや、習慣化とか苦手です(汗)」
という方、大丈夫です、私も苦手です(笑)。そんな方は、「どうやったら自分でも負担なく習慣化できるか?」を考えてみて下さい。
例えば、YouTubeを見る習慣がある方は、そのうちの10分だけでも良いので、英語関連のYouTubeにしてみて下さい。ただ、それだけではついつい忘れてしまいがちです。
そこで、「通勤電車の〇〇駅から〇〇駅の間は絶対にこのチャンネルを見る!」というルールを作れば、ゲーム感覚で楽しみながら習慣化できるかもしれませんよね。
または、「毎朝歯を磨く時はこのチャンネルを聞く!」でも良いですよね。
ポイントは、既に自分の習慣になっていることと結びつけることです。既に習慣化されている何かと同時に、英語学習の行動も自動的に起こせるようにするのです。
ちなみに私の例を挙げると、ネイルサロンに行く際は手が塞がってしまうため、動画を見るのが相性が良いと考えて、英語のTED(様々な分野のプロによるプレゼンテーション動画)を見て知識を付ける時間にしています。
色々考えてみるとアイデアが出てくると思いますので、ぜひ楽しみながらやってみて下さいね。
「自力では習慣化できる気がしない…」という方は、毎週決まった曜日と時間に英会話レッスンを申し込んでしまう等、強制的に英語に触れる機会を作って下さい。
私が事前カウンセリングと定期面談を担当しているオンラインプライベート英会話もおすすめですので、一応リンクを貼っておきます。
習慣化に活用して頂けそうな方はぜひご検討下さい。
そして、「行動と習慣のリスト」ができたら、もうあとはやるだけです!!
一番簡単なものからで良いので、1日1つからで良いので、やってみて下さい。
Step 1からStep 5で書いて頂いたメモは、見えるところに貼るか、手帳に挟むか、写真に撮ってスマホに保存する等で、毎日見るようにして下さい。
見ないと、せっかくやったのに忘れます。
まずはこの記事を読み終えたらすぐに何か1つ行動に移してみて下さいね。
「行動に移せたよ!」
という方は、お友達にもこの記事をシェアして頂けると嬉しいです♪
一人で頑張るより、同志と一緒に頑張る方が楽しいので、これも「やる気」を継続させるコツですね!